外傷の勉強その1(Primary surveyA~C)

救急/集中治療/麻酔

多発外傷診療のまとめ

Primary survey&Resuscitation

  • ABCDE
  • TAF3XーMAPD

Seconday Survey

  • Dysfunction of CNS? > Trauma pan-scan CT
  • AMPLE
  • Head to toe,Front to back
  • PAT BED 2X,FIXES

何から始めよう??外傷の勉強

以上は名著(1を引用したものです.まとまりにまとまっていて,初学者にとっては奇々怪々の呪文になっております.JATECを受講したりセンター的な施設で日常的に外傷診療にあたっておられる方には馴染み深いとおもいます.実は筆者は,蘇生を要しうる外傷診療にほぼ携わってこなかったため,全然馴染みがありません.ところがこの間交通外傷ー開放骨折の診療で動けず困りました(FASTくらいしかできなかった・・・).JATECはすぐには受講できないということで,きれいなままになっていた救急テキストの外傷のページを見直すことと,ATLSのガイドライン(2を読んでみることしました.ポイントやまとめはネットに転がっていたりテキストにあるので,初学者(筆者)がの感想を盛り込みながら書いていこうとおもいます.

Primary survey A~C

総論から少しずつ進めて行きます.

Primary survey

気道 頭部外傷,ショック,直接の物理的損傷に引き続いて気道損傷はおこるかもしれない.原因の如何にかかわらずまず最も優先されるのはAirwayである.気道のクリアリング,吸引,酸素投与,開放と確保をおこなう.

四肢の派手な出血があったり意識レベルがわからない時はそちらに気がとられがちですが,Airwayが兎にも角にも大事なんですね.

Airway Maintenance with restriction of Cervical spine Motion 

頚椎運動を制限しながら気道の開通性の評価を行う.顔,下顎,気管喉頭の破損はないか.会話できるかはポイント.診察中何度も確認を繰り返せ.GCS8以下は挿管しろ.

気管挿管の適応についてはテキストから引用しておきます

①窒息が予想される場合:気道閉塞,口腔内多量出血,気道熱傷

②呼吸不全:RR>30,100%酸素でもSoO2 90%きる

③重症出血性ショック

④GCS<8

The finding of nonpurposeful motor responses strongly suggests the need for definitive airway management. 

この一文やや意味が取りにくいのですが,無目的な発言や運動は意識レベル低下しているということで,挿管(含む気道確保)を考えておこう,ってことかと思います

頚椎の保護.神経学的診察のみでは頚椎損傷を除外できない.カラーを外すときは両腕で挟んで.

文献2より
文献2より筆者作成

Breathing and Ventilation 

Airwayのみでは適切な換気は達成できない.肺,胸壁,横隔膜が必要.軽静脈怒張と気管の位置,胸壁運動を評価するために首と胸を露出させる.聴診,打診うるさいと無理かもね.除外すべき病態としてはtension pneumothorax, massive hemothorax, open pneumothorax, and tracheal or bronchial injuries (Airway obstruction)

これにタンポ(T)とフレイルチェスト(F)をくわえてTAF3X,ですね.

この中で目の前で介入可能なのは緊張性気胸(第2肋間鎖骨中線になるべく太いサーフロー).

単純性気胸>陽圧換気>緊張性気胸,のパターンを知っておく.(気胸に挿管するなら先にチェストチューブを挿入しておく)

Circulation with Hemorrhage Control 

関心事:血液量,心拍出量,出血.出血はPreventable deathの主要原因!ショックで緊張性気胸じゃないなら,他の原因見つからない限り,出血源を探し続ける.意識レベル,皮膚循環(顔色と手足),大腿か総頸Aを触れる.脈触れなければ蘇生を開始する.出血は外出血と内出血とに分かれる.外出血はPrimary surveyで管理することになる.基本的に直接圧迫する.タニケットは有効だが虚血リスクでもあり,生命を脅かすときのみ使用する.

出血源になるのは胸腔,腹腔,後腹膜,骨盤,長管骨である.

検査はFAST or diagnostic peritoneal lavage [DPL],X線で胸部と骨盤

DPLは腹膜透析用のカテーテルを腹腔にいれて血性かどうかみるテストだそうですが,筆者はみたことはありません.

マネジメントはコンサルトと輸血輸液.

手術,IVR,骨盤と長管骨の固定して外科医コンサルトを.

replacement of intravascular volume. 大きい径のルートを2本,採血は血算±妊娠検査と血型とクロス,ショック判断のための乳酸(血液ガス),末梢とれないときは骨髄路,CV,静脈カットダウンを考慮する.37−40℃にあたためた生食に1Lでも反応しなければ輸血をすべきShould,ただしソースコントロールしてなければ,輸液は死亡率と有病率を上げる.

外傷性出血は凝固障害リスクとなる.トラネキサム酸をいれるほうがいいとするスタディもある.

トラネキサム酸についてはちょろっとGoogleで調べただけでもたくさんのStudyが組まれている領域のようであることがわかります.

寸感

今回はPrimary surveyのA~Cまでを,ガイドラインの総論部分をみてみました.学習効率はあまり高くなかったと思いました.まとめやテキストを読んでそのまま覚えられる先生は,わざわざこのようなことをする必要がないでしょう.ゴロが得意な先生もですね.ただなんとなく赤本を読んでも頭に入ってこない自分みたいな人間は,テキストをよむことで知識の隙間をうめていけるので,これも悪くないかな,と考えます.そして今回あくまで総論としての部分をちょっと読んだだけなので続きをまた,やりたいと思います.お疲れさまでした.

参考文献リスト

1)研修医当直御法度第6版(三輪書房),268−276

2)Advanced Trauma Life Support® Student Course Manual 10th edition 7-8

コメント

タイトルとURLをコピーしました